A 下水道と同程度の汚水処理性能を持つ浄化槽の構造は建築基準法で定められており、正しい使い方と適正な維持管理を行えば、本来の機能を十分に発揮することができます。しかし、使い方を誤ったり、維持管理を適切に行わないと、放流水の水質が悪化したり、悪臭が発生してしまうことになり、逆に生活環境を悪くする原因になってしまいます。
A 「浄化槽法」は、「浄化槽によるし尿および雑排水の適正な処理を図り、生活環境の保全および公衆衛生の向上に寄与すること」を目的に昭和58年に制定された法律です。この「浄化槽法」では、おおよそ次のようなことを規定しています。
「浄化槽法」は、昭和60年10月1日から全面施行されたため、この日を「浄化槽の日」と定め、毎年この日を中心に全国でさまざまな行事が催されています。
なお、平成13年4月1日から、浄化槽を設置する場合には、原則として合併処理浄化槽の設置が義務づけられています。(単独処理浄化槽の設置禁止)
A 浄化槽の「保守点検」では、浄化槽のいろいろな装置が正しく働いているか点検し、装置や機械の調整・修理、スカムや汚泥の状況を確認し、通常実施される年1回の清掃以外に必要となる汚泥の引き抜きや清掃時期の判定、消毒剤の補充といったことを行います。
当然、定期的に行うべきものですから、家庭用の小型浄化槽では4か月に1回以上(処理方式や処理対象人員によって回数は異なります。)行うよう定められています。
各浄化槽の点検回数については、こちらをご覧ください。
A 「浄化槽法」とこれに基づく各省令等で詳細に規定されている事柄のうち、『使う側』の皆さんに知っていてほしい義務は次のようなことです。
A 保守点検とは浄化槽の機能が正常に保たれるように、槽内の機器、送風機やタイマー等の点検・調整を行います。また清掃とは槽内の汚泥・スカム等を抜きとり、附属装置や機械類を洗浄する作業です。保守点検・清掃ともに、浄化槽の機能を発揮させるためには必要です。
法定検査とは、保守点検・清掃が適正に行われ、きれいな水が放流されているかどうかを確認し、外観検査・書類検査とあわせて行います。保守点検・清掃とは趣旨、内容も異なるため、法定検査は必要です。
A 保守点検を頼む業者は、「浄化槽保守点検業者」です。この業者の連絡先は、地元の市町村・県環境対策課、県民センターの浄化槽担当課、または指定検査機関(公益社団法人茨城県水質保全協会)におたずねください。
A 浄化槽に流れ込んだ汚水は、沈殿・浮上といった物理作用と微生物の働きによる生物作用によって浄化されますが、この過程で必ず汚泥やスカムといった泥の固まりが生じます。これらがたまりすぎると浄化槽の機能に支障をきたし、処理が不十分になったり、悪臭の原因になったりします。そこでスカムや汚泥を槽外へ引き抜き、附属装置や機械類を洗浄したり、掃除する作業が必要です。
「清掃」とはこのような作業のことを指していますが、浄化槽の維持管理の上で、とても重要な作業になり、年1回以上(全ばっ気型の浄化槽は半年に1回以上)の実施が義務づけられています。
A 清掃は、「浄化槽清掃業」の許可を地元の市町村長から受けた業者に委託してください。浄化槽清掃業の許可を受けた業者についての問い合わせは、地元市町村の浄化槽担当課へ行ってください。
A 浄化槽法では、浄化槽管理者は「水質に関する検査」を受けなければならないことになっています。
浄化槽が適正に維持管理され、本来の浄化機能が十分に発揮されているかどうかを、この水質に関する検査で確認するわけですから、大変重要な検査です。
これらの検査は「浄化槽法」に定められていることから、法定検査と呼びますが、浄化槽を使い始めて3ヶ月を経過してから5ヶ月間に行う「設置後等の水質検査(7条検査)」と、その後、毎年1回定期的に行う「定期検査(11条検査)」があります。
A 浄化槽法第57条に規定により、茨城県報に公示されています。
法定検査手数料についてはこちらをご覧ください。
7条検査「設置後等の水質検査」 |
11条検査「定期検査」 |
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目的 |
浄化槽が適正に設置されているか否かを早い時期に確認するために行う |
保守点検及び清掃が適正に実施されているか否かを判断するために行う |
検査の時期 |
使用開始後3ヶ月を経過してから5ヶ月以内 |
年1回 |
外観検査 |
設置状況 設備の稼働状況 水の流れ方の状況 使用の状況 悪臭の発生状況 消毒の実施状況か、はえ等の発生状況 |
設置状況 |
水質検査 |
水素イオン濃度(pH) 活性汚泥沈殿率 溶存酸素量 透視度 塩化物イオン濃度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD) |
水素イオン濃度(pH) 溶存酸素量 透視度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD)※ ※新11条検査方式のみ |
書類検査 |
記録の有無 記録の内容 保守点検及び清掃の回数 |
記録の有無 記録の内容 保守点検及び清掃の回数 |
茨城県においては、環境省の承認を得て、11条検査の内容を一部変えて実施しています。詳細についてはこちらをご覧ください。
A すべての浄化槽は、この法定検査を受けなければならないと、浄化槽法に規定されています。
法定検査には「設置後等の水質検査(7条検査)」と「定期検査(11条検査)」がありますが、法定検査は、浄化槽の設置や維持管理が適正に行われ、浄化槽の機能がきちんと確保されているかを確認するためのものであり、たとえ浄化槽保守点検業者と委託契約していても、その目的が異なりますから、指定検査機関(公益社団法人茨城県水質保全協会)による法定検査を受けなければなりません。
A 指定検査機関から浄化槽管理者へ提出される検査結果書には、1.適正、2.おおむね適正、3.不適正の3段階の判定が記載されます。
このうち「不適正」の判定が記載されている場合には、検査結果書にしたがって工事業者、保守点検業者、清掃業者に相談し、適切な処置をしなければなりません。
A 浄化槽を設置している場合は、浄化槽法の適用を受けることになり、同法第7条及び11条で規定されておりますので受けなければなりません。
平成18年2月1日から浄化槽法の一部を改正する法律が施行され、茨城県知事は法定検査を受検しない管理者に指導、勧告が出来るようになり、この命令に違反した場合は、30万円以下の過料となります。
A 浄化槽管理者に関係する違反行為とその罰則は次のとおりです。
→6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金
→3ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
→3ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
→30万円以下の罰金
→30万円以下の罰金
→30万円以下の過料
→5万円以下の過料
→30万円以下の罰金
A 送風機(ブロワー)の電源はできるだけ切らないでください。
浄化槽内の微生物が酸素不足で死滅してしまい、異臭がします。ご不明な点は、契約している保守点検業者にご相談ください、
A 水中の有機物が微生物の働きで分解されるときに消費される酸素の量で、有機物による汚れが大きくなればそれだけ分解に必要な酸素の量が多くなるのでBODの数値は大きくなり、逆にきれいな水は小さくなります。
A 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換をお願いしております。
合併処理浄化槽へ転換すると、河川等へ排出される汚れを1/8に減らすことができます。また市町村によっては、単独処理浄化槽の撤去費用の補助を行っているところもありますので、浄化槽を使用している市町村へお問い合わせください。
A 日常使用されていない浄化槽であっても、廃止届出が提出されるまでは、浄化槽が使用されているとみなされますので、保守点検・清掃・法定検査が必要となります。
A 浄化槽法で定められている検査ですので、茨城県のみだけの制度ではありません。
昭和60年10月1日から全面施行されております。浄化槽法ついての詳細についてはこちらをご覧ください。
A 浄化槽の使用を廃止した時は、廃止した日から30日以内に環境省の定める 様式(浄化槽使用廃止届出書)により知事に届出なければなりません。また届出をしなかった場合、虚偽の届出をした者については、5万円以下の過料となります。
浄化槽法に違反した場合の「罰則」については、こちらをご覧ください。
浄化槽使用廃止届出書の様式はこちらをダウンロードしてご使用ください。
A 浄化槽を設置すれば処理水を放流することができます。しかし放流先が無い場合には流すところがないため、設置することができません。この問題を解決するものが敷地内処理施設であり、排水路等が無い場合には、地下への放流を許可しています。
しかし地下へ放流する場合は大変危険です。地下水の汚染等は深刻な問題を招き、機能が不十分な浄化槽からは悪臭等が発生し、周辺の方々に迷惑を掛けるなどの問題も生じます。
これらの問題を生じた場合の改善の困難さから、浄化槽の機能について、厳しく監視する必要があることから、保守点検・清掃・法定検査が必要となります。
A 市販のカビ取り剤のほとんどが、次亜塩素酸ナトリウムを主成分にしていますので、大量に使えば浄化槽内で働く微生物を殺してしまいます。
ですから、カビ取り剤は適正量を使用し、その後は、多めの水で洗い流してください。また、その後は1ヶ月に1度、薬用アルコールを霧吹きでタイル面に吹き付ければ、消毒とカビの発生を防ぐことができます。なお薬用アルコールは薬局で売っています。
A トイレの洗剤として市販されているものにはおおよそ塩素系、酸性、中性の3つのタイプがあり、浄化槽向きであるものは、そのことを表示しています。しかし、洗浄剤は、使用する量によって、浄化槽内の微生物の働きを弱め、ひいては浄化槽機能の著しい低下を引き起こすことがあります。
できれば、トイレの清掃は水やぬるま湯を使い、便器の黄ばみ等を取るには、消毒用アルコールをトイレットペーパーに浸し込ませて拭き取るようにしましょう。なお、洗浄剤を使用する場合は、浄化槽に対応しているタイプのものを選び、必ず適量の使用を守ってください。
A 市販の入浴剤のほとんどは適量を守って使用している限りは、心配することはありません。ただし、多量に入れると浄化槽内の水に色が付き、水質検査のときなどに確認しにくくなりますので、注意してください。なお、硫黄化合物の含まれている入浴剤の使用はできるだけ避けてください。
A 入浴剤と同様に、適量を守って使用している限りは、浄化槽の機能に影響を及ぼすことはありませんが、芳香剤に含まれる色素によって着色され、水質検査のときなどに水質悪化と間違えられたり、香料と槽内の臭気が混じって臭気の問題を起こすこともありますので、注意してください。
A 一般的に、小型浄化槽であっても、風呂場の改造で浴槽を大きくした程度の水量の増加には対処できるよう設計されています。
しかし、同時に全自動洗濯機の排水を流すような場合には、時間をずらすなどの配慮をしてください。
また、排水口に取り付けるだけで、流量を調整する器具もありますので利用してみてください。
A 浄化槽のマンホールやブロアの上には、物置などを置かないでください。特に、日頃から点検や清掃作業に支障がないように十分注意してください。
A 廃油に混ぜて、液体のまま流しに流す方式の油処理剤は、浄化槽の中で、ふたたび油と水に分離します。このため、結果として大量の油を流し込んだのと同じことになり、油が浄化槽内のろ床やパイプ類に付着して目詰まりをおこすなど機能低下の原因になりますので、その使用は避けてください。
なお、家庭からの廃油処分は、牛乳パックの中に、古新聞等に浸み込ませて入れ、可燃ごみとして出すか、油を固めるタイプの凝固剤で固化させてから、可燃ごみとして出してください。
また、皿や鍋、フライパン等についた油も、洗う前にキッチンペーパーや新聞紙などで拭きとるようにしましょう。
A 家庭用の浄化槽は、台所から出るごみをすべて処理するようにはできていません。そのため、市販の流し用のネットや使い古しのストッキングなどを再利用して排水口に被せると、小さな野菜くずまで回収できて効果的です。
A 浄化槽からの「音」や「振動」について、原因を特定するのはかなり難しいことです。
過去にあった例では
などがありました。いずれの場合も、早めに浄化槽保守点検業者(あるいは施工業者)に連絡して、適正な措置をとるようにしてください。
A 臭気の原因として考えられるのは、
などがあります。
これらへの対処は、専門知識がなければできないものもありますので、委託している浄化槽保守点検業者に連絡して、適正な措置をとるようにしてください。
A 環境にやさしいから粉石鹸を使うという人もいれば、無リン洗剤の方が優れているから使うという人もいます。
浄化槽の立場から考えれば、できるだけ中性のものを、洗剤メーカーが指示する適量を必ず守って使ってもらいたいと思います。
洗剤は大量に入れても汚れ落ちとは無関係ですし、逆に水を汚す原因となるだけです。
なお、家庭でシーツやシャツなどに使う漂白剤は、適量を使用するかぎり大丈夫ですが、塩素系の漂白剤は避けた方がいいでしょう。
A 小型浄化槽は、し尿だけでなく台所や風呂、洗濯などの生活雑排水もいっしょに処理する浄化槽です。それだけにさまざまな性質の汚水を処理する能力が要求されます。こうした状況を浄化槽を使用する家族のみんなが理解し、浄化槽が機能を十分に発揮できるように協力することが大切です。